レーザークリーナーが錆を取る原理は、レーザー光が錆に含まれる酸化物と金属表面の違いを利用して、選択的に錆だけを除去することに基づいています。

1. 光の吸収率の違い

錆（酸化鉄）は、通常の金属表面と異なる光の吸収特性を持っています。 レーザー光が錆に照射されると、錆がそのエネルギーを効率的に吸収します。 一方、錆がない金属表面はレーザー光をあまり吸収せず、反射します。 この違いにより、レーザーは錆の部分に集中してエネルギーを与え、金属表面にダメージを与えずに錆だけを除去できます。

2. 瞬間的な加熱と蒸発

レーザー光を錆に照射すると、錆が急速に加熱され、極めて高温になります。この急激な温度上昇によって、錆が蒸発（アブレーション）し、気化します。 これにより、錆が金属表面から取り除かれます。このプロセスは非常に高速で、錆の層が次々と蒸発していきます。

3. 非接触での作業

レーザークリーナーは非接触で錆を取り除くため、ブラシや研磨などの物理的な摩耗を必要としません。 これにより、金属表面自体への損傷を最小限に抑えつつ、錆を効率よく除去できます。

4. 選択的な除去

レーザークリーナーは、レーザーの出力や照射時間を細かく調整できるため、金属表面の特定の層（たとえば塗料や油汚れ）だけを除去し、基材を保護することが可能です。

5. エコで安全

レーザーでクリーニングする作業は化学薬品を使わないため、環境に優しく、比較的安全な作業です。 また、レーザー照射によって発生するのは主に気化した錆の粒子なので、他の手法に比べ人体にもクリーンです。

レーザークリーナーは、金属加工や自動車修理、古い建築物の保全作業など、さまざまな分野で活用されており、錆以外の汚れや酸化物の除去にも応用されています。

パルスレーザーと連続波（CW: Continuous Wave）レーザーの主な違いは、レーザーの出力の時間的な特性にあります。

●パルスレーザー

パルスレーザーは、レーザー光を短い時間の間だけ高出力で発生させるレーザーです。光の放出は間欠的で、短時間に強力なエネルギーを集中して放射します。

【特徴】

• ・エネルギーの集中度が高い：パルスレーザーは非常に短い時間（ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒といった単位）に高エネルギーを放出するため、瞬間的なピークパワーが非常に高いです。
• ・パルス幅：レーザーが発生する時間の長さを指します。これが短いほど、レーザーの出力が瞬間的に強力になります。
• ・繰り返し周波数*：パルスレーザーは一定の周波数で光を発生させます。この繰り返し率を制御することで、必要な照射量やエネルギーを調整できます。

●CWレーザー（連続波レーザー）

CWレーザーは、その名の通り、レーザー光を継続的に安定して出力するレーザーです。出力は一定で、レーザーがオンになっている限り途切れることなく発生します。

【特徴】

• ・出力が連続的：パルスのようにエネルギーが断続的ではなく、一定の出力で連続して光を放射します。
• ・ピークパワーが低い：パルスレーザーほど瞬間的なピークパワーは高くありませんが、安定した出力が可能です。
• ・時間的なエネルギーの均一性：一定時間にわたって均一にエネルギーを供給できるため、安定した加工や照射が可能です。

当社のレーザークリーナーでは機種によって採用しているレーザーの種類が異なります。

100W/200W/500W　　パルスレーザー
1500W　CWレーザー

パルスレーザーでは、『熱+衝撃』で錆を蒸発させながら吹き飛ばすイメージです。
CWレーザーでは、錆を『熱で焼き切る」イメージで取り除きます。

一般的にはパルスレーザーの方が、素材を傷めずに錆や塗膜を除去し易いです。